自身の自己破産が実は家族の生活に影響しないこと5選
借金の返済が滞り、にっちもさっちもいかない状況になっているのに、「家族の迷惑になるから」といった理由で自己破産をためらう方がいらっしゃいます。
日本では、特に自己破産に対するネガティブなイメージが強く、破産だけはいやだと考える方が多いと感じます。
もちろん、自己破産による家族への影響はゼロだとはいえません。ですが、多くの人が考えている程「迷惑」はかからないのです。
この記事では、意外と知られていない「自己破産が実は家族の生活に影響しないこと」を5つのポイントにわけて説明します。
実は影響しないポイント5つ
この記事では、弊事務所の弁護士が依頼者様から特に聞かれることが多いポイントについて説明します。
それぞれ、
1:家族の職業選択・就職・選挙権に影響はない
2:家族の結婚に法的な影響はない
3:同居でない家族/親族に破産したことをしられる可能性は低い
4:職場や近所の人に破産の事実を知られる可能性は低い
5:家族の信用情報に影響はない
です。
家族の職業選択・就職・選挙権に影響はない
あなたが自己破産をしたとしても、家族の職業や就職に制限は発生しません。
自己破産と職業の関係について悩まれている方は、おそらく自己破産における資格制限について勘違いをされているのではないかと思います。
資格制限とは、破産手続き中に、一定の資格を喪失する/得られなくなることを指します。
といっても、その資格が今後永遠に使えなくなるわけではありません。破産の手続きの間だけ無効になるのです。
免責許可がおりれば、これまでのように資格を取得したり、資格を使ったりできます。
そして、資格制限を受けるのは、破産手続きをする本人だけです。手続きと関係のない家族の資格が喪失することはありません。
また、すべての資格に関して制限がかかるわけでもありません。資格制限を受ける主な例は以下のとおりです。
・弁護士、公認会計士、司法書士、税理士など士業
・警備員
・宅地建物取引主任者
・公証人
このように、他人の財産や秘密を取り扱う職業に関しては、資格制限がある傾向です。
また、破産をしたからといって、選挙権が剥奪されることはありません。後ほど記載しますが、たとえ破産したとしても戸籍や住民票などの公的な書面にその事実が記載されることはありません。
選挙に関しても同様です。
これまで通り、投票が可能です。
家族の結婚に法的な影響はない
自分が自己破産をしても、家族の結婚に法的な影響はありません。
自己破産をしても、戸籍や住民票などの公的書面にその事実が掲載されることはありません。
家族がお相手に破産の事実を話さない限り、知られることはありません。
また、ご自身の自己破産を理由に、配偶者と離婚する必要もありません。
たまに、「自分が破産するから配偶者も破産しなくてはならない」と考えたり、「破産する前に離婚しないと妻(夫
)に迷惑がかかる」と考えたりしたりする方がいますが、その必要は基本的にはありません。
同居でない家族/親族に破産したことを知られる可能性は低い
同居していない家族や親族に破産したことを知られる可能性は極めて低いです。
同居している家族に関しては、破産の事実が知られる可能性があります。というのも、手続きする上で裁判所に提出する書類のなかに、同居家族の収入の証明や財産に関する書類が含まれることがあるからです。
その他にも、家計収支表の提出が求められるなど、同居家族の協力が必要なのです。よって、完全に同居家族に秘密のまま破産することは少し難しいのです。
しかし、別居しているのであれば、書類作成の協力は不要です。
また、手続き上の書類が裁判所から親族に送られることもありません。手続き上で知られる可能性は低いでしょう。
ただし、同居でない家族・親族であっても、その人があなたの借金の保証人となっている場合は注意が必要です。
自己破産手続きを行うと、連帯保証人の元に請求が行きます。よって、別居している家族が保証人の場合、どうしても破産の事実が通知されてしまいます。
そのような場合は、今後どのように対応していくか、その家族にしっかりと説明していかなくてはなりません。
特に多いのが、親が奨学金の連帯保証人になっているケースです。
このような場合には、子供の破産すると親に支払いの督促が行く可能性があります。事前に話しておくなどの対応が必要になるでしょう。
職場や近所の人に破産の事実を知られる可能性は低い
自己破産をするときの不安として、
・近所で噂になってしまうのではないか
・職場に破産したことが知られて働きにくくなるのではないか
・子供が学校でいじめられるのではないか
などがあげられます。
しかし、これらの心配はほとんど杞憂です。
まず、重ねての説明となりますが、自己破産をしたからといって、戸籍や住民票、マイナンバーカード等公的な書面にその事実が記載されることはありません。
また、消費者金融は、貸金業法という法律を遵守しています。この法律では、「債務者の家以外に借金の取り立てに行くことは禁止」(貸金業法21条3項)と定められています。
よって、債権者が勤務先や親戚の家などに取り立てにいくことは通常ありません。破産手続き中も同様です。
ただし、債務者がこれまでの取り立てを一切無視し続けており、債権者と連絡を取っていないなど、やむを得ない理由があれば、債権者が実家や職場に連絡できます。その点にはご注意ください。
さらに、乱暴な言葉遣いや大きな声での取り立ても禁止されています(貸金業法21条1項)。よって、大声での取り立てが原因で、債務の有無が近隣住民に知られる可能性は低いと考えられます。
要チェック 官報から破産の事実が知られる可能性は低い
自己破産を裁判所に申し立てると、「破産手続きの開始決定」と「免責許可決定」がおりた合計2回のタイミングで、官報と呼ばれる機関紙に、氏名や住所が公告されます。
官報とは、国が発行する新聞のようなもので、法令の公布、大臣や各省庁の人事異動といった内容が記載されています。
破産や失踪宣言などの裁判所公告も、この官報に記載されます。
まれに、ご相談者の方で、「官報に名前や住所が記載されることで、周囲の人に破産したと知られてしまうのではないか」と不安に感じられる方がおられます。
しかし、実際に官報を購読している人は極めて少ないです。この記事を読んでいる方の中でも、一度でも官報を見たことある人はほとんどいないのでは無いかと思います。
このように、官報を通じて破産したことが周囲にばれるといった可能性は極めて低いのです。
家族の信用情報に影響はない
自己破産手続きをすると、あなたの信用情報に事故情報が登録されます。これがよく言われる、「ブラックリスト入り」した状態です。
「自己破産」だからブラックリスト入りするというわけではなく、任意整理や個人再生などの債務整理手段を取った場合でも同様に登録されます。
一度ブラックリスト入りすると、登録されている間は、新たな借入やローンを組むこと、新しくクレジットカードをつくることは難しくなります。
ただし、ブラックリスト入りは、破産者本人にしか適用されません。家族の信用情報に傷がつくことはありませんので安心してください。たとえ、家族があなたと生計をともにしていたとしても、家族までブラックリスト入りすることはありません。
要チェック 破産とクレジットカード
昨今はキャッシュレス化が急速に進み、現金を使う機会が激減しました。
そんな中でもはや私達の生活の一部となっているのがクレジットカードです。
先程も説明したとおり、基本的にあなたが自己破産をしても、家族がブラックリスト入りすることはありません。
しかし、あなた(自己破産をする人)が契約者であるクレジットカードの、家族カードを家族が使っている場合には注意してください。
家族カードの信用情報は、あくまでも契約者の情報に左右されます。家族の信用情報に問題はなくても、家族カードは使えなくなる可能性があります。
それは、逆に考えれば、あなたが破産したあとに、信用情報に問題がない家族が契約者となるカードの家族カードを所有できるということになります。
キャッシュレス化が進む社会、どうしてもクレジットカードが生活に欠かせないということであれば、家族カードの使用も考えてみれば良いと思います。
債務整理に関するお悩みは弊事務所にご相談ください
自己破産は、破産当事者にはいくつもの制限を与えます。しかし、家族が受ける影響は皆さんの想定よりも少ないのです。
ここでは代表的な5つの例を挙げましたが、それ以外にもまだまだ多くの誤解があります。
自己破産や債務整理に関して不安を感じておられるのであれば、是非弊事務所にご相談ください。
ご家族が受ける影響も含め、弁護士が丁寧に説明致します。
破産を含め、債務整理の手続きさえすれば借金の精算が可能なのに、「家族に迷惑がかかるから」という理由でためらい続けるのはあまりにもったいないです。
弊事務所では、債務整理に関する相談は無料でお受け致します。どうぞお気軽にご連絡ください。