NO.449 債務整理 ⇒ 債務承認後の和解交渉
<事案>
消費者金融1社,残債務207万円で直前にご本人が債務承認(注1)をしており,時効援用(注2)ができない案件。本人が長期間放置して,債権者は強い不信感を持っており,交渉は難航する可能性がありました。
<解決に至るまで>
各社の債務額と和解内容(概要)
○アコム株式会社 残債務額:207万円(元本45万円,遅延損害金162万円)
和解額27万円 1万5000円 × 18回払い
<最終的な結果>
最後の弁済から13年が経過し,遅延損害金が162万円も加算されていました。債権者に連絡したところ,転居を繰り返しているため,請求も訴訟提起もできなかったが,ご本人が直前に分割での支払の申出をしており,債務承認があるので時効援用はできないと理解している,とのことでした。念のため,本人に確認したところ,債務承認は事実であることが確認できたので,時効援用はできず,分割弁済での解決を図ることにしました。
債権者から開示された取引履歴を確認すると,利息制限法所定利率(注3)を超えていたため,引き直し計算を行い,債権者が主張する元本45万円が27万円になりました。そして債権者との交渉で遅延損害金全額をカットし,将来利息(注4)なしで,元本27万円を分割して返済する和解をすることができました。
<担当者から>
長期間支払をしていない債権者から請求があった場合は,ご本人から連絡をせず,法律事務所に相談されることをお勧めします。債権者に連絡して債務承認をしてしまうと,時効援用ができなくなることもあるので注意してください。
【用語解説】
(注1)債務承認
時効援用前に債務者が債務を承認すると,それまでの時効進行期間がリセットされ,新たに時効進行が始まる(民法152条1項)。
債務の存在を認めるだけでなく,返済猶予や分割払いの申込なども債務の承認となる。
(注2)時効援用
時効の完成によって利益を受ける者が,時効の完成を主張すること(民法145条)。
(注3)利息制限法所定利率(利息制限法1条)
元本の額が10万円未満の場合 年20%
元本の額が10万円以上100万円未満の場合 年18%
元本の額が100万円以上の場合 年15%
(注4)「将来利息」
貸金業者との和解成立後,完済するまでの間に発生する利息のこと。
当事務所では,原則将来利息なしで和解をしている。将来利息が発生しないので,任意整理中は,債務は増えることはなく,弁済で減っていく一方になる。
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