NO.61 オーバーローン不動産と破産申立(同時廃止)
<事案>
自宅(一戸建て)を所有していたが,オーバーローン不動産(注1)であるので同時廃止事件(注2)として申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 11社
残債務額 約2020万円(住宅ローン1800万円を含む)
財産 自宅(一戸建て)約800万円
<最終的な結果>
住宅ローン残高と自宅の価値を比較すると,残ローンが自宅の約2.25倍で,オーバーローン不動産でした。そこで,実質的に財産なしとして同時廃止事件で申立を行い,早期に免責決定がされました。 なお,ご自宅については,当事務所が任意売却(注3)を多く手がける不動産業者をご紹介し,任意売却で処分しました。
<担当者から>
同時廃止事件で申立をするか,破産管財事件(注4)で申立をするか,手続の選択は難しいところですが,依頼者様の経済的再生に最も資する手続を選択すべきと考えています。
【用語説明】
(注1)オーバーローン不動産
所有不動産が,下記①または②にあたる場合は,「オーバーローン不動産」として価値なしとする。したがって,財産がオーバーローン不動産のみの場合は,同時廃止事件として申立をすることができる。
①担保付不動産の被担保債権額の残高が固定資産税評価額の2倍を超える
②上記①の割合が1.5~2.0の間の場合,被担保債権額の残高が不動産業者の査定額の1.5賠を超える
(注2)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
(注3)任意売却 略称:「任売」(にんばい)
担保権が付いた不動産につき,法的手続(=競売)ではなく,担保権者との任意交渉で担保抹消同意を得て売却する手続。①任意交渉であるので所有者側に主導権がある,②競売より高額で売却できることが多く売却後の残債務を少なくすることができる,③引越費用を売却代金から取ることができる,などのメリットがある。
(注4)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
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