NO.230 住宅ローンと破産申立2
<事案>
自宅の住宅ローン延滞で破産申立をした事案。
< 解決に至るまで >
債権者数 9社
残債務額 約3500万円(住宅ローンを含む)
財産 自宅
<最終的な結果>
転職により収入が下がってしまい,月々の住宅ローン支払が困難になったため,破産申立をすることにしました。破産申立をすると自宅はなくなりますが,単身なら転居先も見つかりやすいこともあり,住宅特則付き個人再生(注1)ではなく破産申立をすることにしました。
自宅は,オーバーローン不動産(注2)であったので,同時廃止事件(注3)として申立をしました。自宅は任意売却(注4)で進め,売却完了直前に転居することにしました。
免責不許可事由もまったくないため,手続は問題なく進み,無事免責決定がされました。
<担当者から>
本件も早く申立ができたので,任意売却完了前に破産事件が終了しました。
【用語説明】
(注1) 住宅特則付き小規模個人再生(民事再生法第13章以下)
住宅ローンはそのまま払い続け,消費者金融やクレジットの総債務額を減額した最低弁済額を原則3年で分割弁済することで,消費者金融やクレジット残額の免除を受ける手続。
(注2) オーバーローン不動産
所有不動産が,下記①または②にあたる場合は,「オーバーローン不動産」として価値なしとする。したがって,財産がオーバーローン不動産のみの場合は,同時廃止事件として申立をすることができる。
①担保付不動産の被担保債権額の残高が固定資産税評価額の2倍を超える
②上記①の割合が1.5~2.0の間の場合は,被担保債権額の残高が不動産業者の査定額の1.5賠を超える
(注3) 同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
(注4) 「任意売却」 略称:「任売」(にんばい)
担保権が付いた不動産につき,法的手続(=競売)ではなく,担保権者との任意交渉で担保抹消同意を得て売却する手続。①任意交渉であるので所有者側に主導権がある,②競売より高額で売却できることが多く売却後の残債務を少なくすることができる,③引越費用を売却代金から取ることができる,などのメリットがある。
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