NO.254 ギャンブルと破産免責

<事案>

  消費者金融とクレジットカードの借入が主だが,20年近く続けたパチンコで1000万円近くを使い果たし,免責(注1)に問題はあるが同時廃止事件(注2)として申立をした事案。

<解決に至るまで>

債権者数  8社

残債務額  約3000万円

パチンコでの浪費額 約1000万円

<最終的な結果>

 ご本人はもともと真面目な性格でしたが,パチンコにはまり込み,20年近くで1000万円負けてしまいました。消費者金融で借入をして何度か両親などに代わりに払ってもらいましたが,祖母が亡くなったことを機にパチンコをやめました。

 免責不許可事由があることは明らかですが,やめて数年が経っていること,やめてから現在までまったくパチンコをしていないこと,反省して今後もするつもりもないと誓っていることから,裁量免責(注3)の余地がありました。同時廃止事件で申立をして,当時の状況及び今後繰り返す可能性がないことを報告し,裁判所での集団免責審尋(注4)を経て無事免責決定がされました。

<担当者から>

 インターネット上の掲示板で,少しでも免責不許可事由があれば破産はできない,という書き込みを見かけます。しかし,裁量免責の可能性もありますので,破産事件を多く手がけている弁護士とのご相談をお勧めします。

【用語解説】

(注1)免責 (破産法248条以下)

 破産開始決定時に存在する借入金などの債務につき,支払義務を免れる手続き。個人の破産者は,免責不許可事由(破産法252条)がないか,あっても裁量免責相当とならば免責決定を受ける。

(注2)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」

 破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。

(注3)裁量免責

 免責不許可事由が存在する場合,裁判所は,経緯その他一切の事情を考慮して,相当と認めるときは裁量で免責を許可することができる(破産法252条2項)。

(注4)免責審尋期日

 破産手続で,免責するのが妥当か判断するため行われる債務者と裁判官との面接。大阪地方裁判所の運用では,「集団免責審尋」として,裁判官が裁判所の集会室に集まった債務者に注意事項などを話すことがほとんどである。

債務整理・自己破産・任意整理・個人再生の無料相談 初回相談料 0円 TEL:0120-115-456 受付時間:10:00~19:00 メール受付