NO.260 債務整理 ⇒ 個人事業主の破産申立
<事案>
個人事業(プラスチック加工)での借入金につき,破産申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 27社
残債務額 約1億3000万円
財産 預金60万円,保険60万円,自動車25万円
不動産5000万円(担保付),売掛金600万円,機械150万円
<最終的な結果>
お父様が始めたプラスチック加工の個人事業を継いで,事業を続けていましたが,資金繰りができなくなり破産申立を希望されました。
個人事業主が破産申立をする場合は,破産管財事件(注1)として申立をする必要があります。売掛金の回収を行って申立費用を捻出し,債権者への受任通知(注2)と同時に申立をしました。
個人事業者ですので,預金などは自由財産拡張(注3)の申立をすれば保護されます。裁判所と破産管財人に対し,事業に関する調査・報告と自由財産の説明をするなど,やることは多岐にわたりましたが,事前調査と報告によるものか手続はスムーズに進み,無事配当・免責(注4)がされました。
<担当者から>
会社と個人事業の破産を多く手掛けていますが,同じ規模ならば個人事業の方が難易度は高いように思います(個人の感想です)。個人事業の廃業をお考えなら,多くの案件を手掛けたことのある法律事務所にご相談されることをお勧めします。
【用語解説】
(注1)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金20万5000円の納付が必要。
(注2)受任通知
弁護士から債権者に対し,債務者本人の代理人として債務整理手続を行うことを知らせる通知。貸金業者は,受任通知到達後,正当な理由なく本人に請求することはできなくなる(貸金業法21条9号)。
(注3)自由財産拡張
個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。拡張が認められると,破産管財人に処分されず,破産者の財産として保護される。
(注4)免責 (破産法248条以下)
破産開始決定時に存在する借入金などの債務につき,支払義務を免れる手続き。
個人の破産者は,免責不許可事由(破産法252条)がないか,あっても裁量免責相当とならば免責決定を受ける。
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