NO.407 債務整理 ⇒ 破産と相続した不動産持分

<事案>

 相続した実家の土地建物の共有持分(注1)があったため,破産管財事件(注2)として申立をした事案。

<解決に至るまで>

債権者数  10社

残債務額  約2100万円(住宅ローン残債務を含む)

不動産価格 約160万円(固定資産税評価額による)

共有持分  4分の1(価格約40万円 他の親族2名と共有)

      抵当権などの担保負担なし

<最終的な結果>

 大阪地方裁判所の取扱では,申立人(=債務者)に不動産がある場合,オーバーローン不動産(注3)でない限り破産管財事件として申立をする必要があります。本件の土地は担保負担がなく,オーバーローン不動産とならないため,同時廃止事件(注4)ではなく破産管財事件として申立をしました。

 破産管財人は,売却を検討したようですが,買取希望者がいないこと,農地で用途が制限され実勢価格は固定資産税額を大きく下回ることなどから,破産管財人において価格を再検討しました。検討の結果,申立人の親族が13万円を支払うことで破産財団から放棄され申立人が引き続き所有することになりました。

 これにより換価(=財産をお金に換える手続)は終了し,無事免責決定がされました。

【用語解説】

(注1)共有持分 (民法249条以下)

共有とは,複数の所有者(=共有者)によって支配・利用されている状態。

持分とは,各共有者が目的物に対する有する所有の割合のこと。

(注2)破産管財事件 (破産法31条1項)  通称「管財事件」

 破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。

 大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。

(注3)オーバーローン不動産

 所有不動産が,下記①または②にあたる場合は,「オーバーローン不動産」として価値なしとする。したがって,財産がオーバーローン不動産のみの場合は,同時廃止事件として申立をすることができる。

 ①担保付不動産の被担保債権額の残高が固定資産税評価額の2倍を超える

②上記①の割合が1.5~2.0の間の場合は,被担保債権額の残高が不動産業者の査定額の1.5賠を超える

(注4)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」

 破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。

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