NO.128 破産申立と自由財産
<事案>
現金,預金と保険につき自由財産拡張申立(注1),さらに退職金につき調査報告をした結果,自由財産(注2)とされた事案。
<解決に至るまで>
債権者数 11社
残債務額 約2500万円
財産 自由財産拡張財産:現金91万円,預金5万円,保険解約返戻金 2万円
自由財産:退職金(確定給付企業年金の脱退金)1300万円
<最終的な結果>
Aさんには,相当金額の現金,預金,保険及び退職金があり,自由財産拡張をするため,破産管財事件(注3)として申立をしました。
一般的に,自由財産拡張申立の対象となるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金です。Aさんの現金,預金,保険は,合計99万円以下だったので,自由財産拡張が認められ,破産管財人に処分されることはなくなりました。
問題は,退職金です。Aさんの退職金につき調べたところ,確定給付企業年金の脱退金であることが判明しました。脱退金は差押え禁止債権であるので(確定給付企業年金法34条1項),自由財産であり,破産財団に属さないことを報告した結果,退職金についても破産管財人に処分されることはなくなり,Aさんに残されることになりました。
金額が大きいので,裁判所と管財人は慎重に手続を進めたため,少し時間はかかりましたが,無事免責決定がされました。
<担当者から>
自由財産拡張と自由財産については,専門的な知識が必要になりますので,ご自身で判断される前に,弁護士に何なりとお尋ねください。
【用語説明】
(注1)自由財産拡張
個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。拡張が認められると,破産管財人に処分されず,破産者の財産として保護される。
(注2)自由財産 (破産法34条3項2号)
破産財団に帰属しない財産のこと。差押禁止財産などがあたる。破産者が管理・処分できる。
(注3)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
法人代表者の場合,必ず破産管財事件となる。大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
- NO.650 債務整理 ⇒ 【破産】・生活費と破産
- NO.646 債務整理 ⇒ 【破産】・ギャンブルと破産
- NO.645 債務整理 ⇒ 【破産】・後見人と破産
- NO.643 債務整理 ⇒ 【破産】・生活費と破産
- NO.642 債務整理 ⇒ 元妻のうつ病により返済が困難となった事案と破産申立
- NO.641 債務整理⇒破産手続開始申立事件
- NO.639 債務整理 ⇒ 法テラス利用と破産申立
- NO.637 債務整理 ⇒ 少額のギャンブルと家族の一人が財産管理する特別事情と免責
- NO.632 債務整理 ⇒ ネットカジノ・情報商材への投資と免責
- NO.630 債務整理 ⇒ 自爆営業と破産申立
- NO.629 債務整理 ⇒ 任意整理後の病気と破産
- NO.627 債務整理 ⇒ 任意売却と破産
- NO.621 債務整理 ⇒ 【破産】・病気と破産
- NO.619 債務整理 ⇒ 【破産】・法人、代表者の破産
- NO.616 債務整理 ⇒ 【破産】・生活費不足による破産
- NO.615 債務整理 ⇒ 【破産】・偏波弁済と破産
- NO.614 債務整理 ⇒ 【破産】・事業の停止と破産
- NO.613 債務整理 ⇒ 【破産】・浪費と破産
- NO.612 債務整理 ⇒ 浪費を裁判所に申告していなかったが、免責された件
- NO.611 債務整理 ⇒ 【破産】・生活費不足と破産