NO.188 会社の代表者の破産申立と再就職
<事案>
会社の代表者につき,破産申立をした事案
<解決に至るまで>
権者数 9社
残債務額 約3300万円(代表努める会社の保証債務を含む)
財産 預金約10万円
<最終的な結果>
大阪地方裁判所の取扱では,会社の代表者は,原則会社と同時に破産申立をする必要があり,会社・代表者共に破産管財事件(注1)となります。
代表者は,廃業と残務処理をしたのち,専門知識と経営者としての経験を活かして新たな就職先に勤務予定でした。そのため,廃業後1度のご来所で申立書作成をして,就職前に会社・代表者ともに裁判所に申立をすることができました。
預金は,自由財産拡張申立(注2)をして認められ,破産手続はスムーズに進みました。ただ,小さな問題でしたが,新たな調査事項が破産管財人のもとで発見され,調査のために2回目の債権者集会が開かれました。そのため,当初予想の2か月遅れの5か月で会社と代表者の破産手続は終了し,破産廃止・免責決定がされました。
なお,代表者は,専門技術と会社経営者としての経験を活かし,新しい勤務先で活躍しておられるようです。
<担当者から>
技術者の再就職は早いです。廃業直後に複数の取引先・関係会社から再就職のオファーを受ける方もおられます。会社は破産開始決定で解散し,破産手続の終結で消滅します。しかし,身につけた技術は消えることなく評価されるのだな,と思います。
【用語説明】
(注1)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
法人・法人代表者の場合,必ず破産管財事件となる。大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
(注2)自由財産拡張申立
個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。拡張が認められると,破産管財人に処分されず,破産者の財産として保護される。
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