NO.285 債務整理 ⇒ ギャンブルと免責
<事案>
消費者金融とクレジットカードの借入700万円につき,ほぼ全額がギャンブル(競馬)による浪費で,免責(注1)に問題があるため免責観察型(注2)の破産管財事件(注3)として申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 9社
残債務額 約700万円
競馬での浪費額 約1000万円
<最終的な結果>
ご本人はもともと真面目な性格で,勤務先での信頼も厚かったのですが,友人に誘われた初めての競馬で大勝したことから,競馬にはまり込んでしまいました。負けず嫌いで真面目かつ努力家であったこともあり,ついにはギャンブル依存となり,借入金も返せない金額になったため,ご家族とご相談にご来所されました。
借入金のほぼ全額がギャンブルによる浪費で免責不許可事由があることは明らかであるので,免責観察型の破産管財事件として申立をしました。
申立に際しては,ギャンブル依存克服のため,家族の支援と協力,通院と支援団体など,ギャンブル依存脱出のためにしていることを裁判所に事細かに説明し,破産管財人(注4)にも追加報告書を提出しました。
破産管財人からは,毎月家計収支表(注5)の作成と,今後の生活再建策を書面で提出するよう指示がありました。本人は,真面目に指示に応え,破産管財人の調査・指導を経て手続は終了し,無事免責決定がされました。
<担当者から>
インターネット上の掲示板などでは,「ギャンブルでの破産は絶対無理」などの書き込みを見かけます。しかし,裁量免責の可能性もありますので,破産事件を多く手がけている弁護士とのご相談をお勧めします。
【用語解説】
(注1)免責 (破産法248条以下)
破産開始決定時に存在する借入金などの債務につき,支払義務を免れる手続き。
個人の破産者は,免責不許可事由(破産法252条)がないか,あっても裁量免責相当とならば免責決定を受ける。
(注2)免責観察型
免責不許可事由があり,免責不許可の可能性が高い場合,裁量免責のため,破産管財人による調査,指導監督を受ける手続き。
(注3)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
(注4)破産管財人
破産手続で,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する人(破産法2条12項)。管轄裁判所が破産管財人名簿に登録された弁護士から選任する。
(注5)家計収支表
1か月の世帯全体の収支と支出を表したもの。破産申立用に裁判所が定めた書式がある。
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