NO.530 不動産を任意売却し破産申立をおこなった事例。
<事案>
相談者は、平成21年頃、約4000万円の住宅ローンを組んで不動産を購入しました。この頃、同居の母が病気になり、働くことが困難な状況になり、家計収入が大きく減少してしまいました。節約を心掛け何とか生活していましたが、訪問販売で高額商品を購入してしまったり、弟の学費の面倒などで借金が膨らんでいきました。何とか返済を続けるも、自転車操業で借金が膨らんでしまい、自力での生活立直しが困難なことから当事務所にご相談に来られました。
<解決に至るまで>
債権調査の結果、住宅ローンの残債を含め約4300万円の負債があることが判明し、支払い不能状況の状況でした。当事務所から任意売却の業者を紹介し、不動産の任意売却(注1)を進めながら、管轄裁判所へ同時廃止(注2)事件での破産申立をおこないました。当該案件については、裁判所の判断で管財事件(注3)へ移行しまし、時間がかかってしまいましたが、無事に免責決定がなされました。
*用語説明
(注1)任意売却 略称:「任売」(にんばい)
担保権が付いた不動産につき,法的手続(=競売)ではなく,担保権者との任意交渉で担保抹消同意を得て売却する手続。①任意交渉であるので所有者側に主導権がある,②競売より高額で売却できることが多く売却後の残債務を少なくすることができる,③引越費用を売却代金から取ることができる,などのメリットがある。
(注2)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
(注3)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
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