NO.539 債務整理 ⇒ 説明義務違反・浪費(遺産を競馬に)と破産免責
<事案>
破産申立をしたところ,遺産を受け取っていたのにそれを隠して競馬に使っていたことが免責不許可事由(注1)になる恐れがあったものの,最終的に免責を受けた事案。
<解決に至るまで>
債権者数 1社
残債務額 約8900万円
浪費額 約1100万円
<最終的な結果>
依頼者は,工場失火を起こし,火災保険会社から約8900万円を求償され,支払不能となり,ご来所されました。
破産管財事件(注2)となりましたが,その手続きの中で,工場失火の1週間前に約1100万円の遺産を受け取っていること,それをほぼ全て競馬などギャンブルで浪費してしまったこと,それらについて弁護士に対しても嘘をついていたことが判明し,免責不許可事由があることは明らかでした。
免責観察型となり,毎月破産管財人と面談を重ねましたが,ギャンブル依存症の治療を病院で受けていること,家計収支表を毎月提出し,計画的な支出ができていることが認められ,無事免責決定がされました。
<担当者から>
遺産を受け取っていることが判明した時は厳しい見通しでしたが,何が問題か,ご自身でどう思い,今後どうしていくべきかをきちんと向き合っていただいた結果,免責を獲得できたのだと思います。
【用語解説】
(注1)免責不許可事由(破産法252条)
破産手続で免責が認められないとされる事由。
支払不能後の処分行為,浪費,ギャンブル,詐術による信用取引,財産関係資料の隠匿・破棄,虚偽の債権者一覧表の提出,裁判所・破産管財人に対する説明義務違反などがある。
(注2)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
(注3)免責 (破産法248条以下)
破産開始決定時に存在する借入金などの債務につき,支払義務を免れる手続き。
個人の破産者は,免責不許可事由(破産法252条)がないか,あっても裁量免責相当とならば免責決定を受ける。
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