NO.585 債務整理 ⇒ 時効援用と破産申立
<事案>
消費者金融からの借入につき,最後の弁済から5年を経過しているので消滅時効(注1)の援用を検討したが,判決を取られて時効が完成していないため,破産申立により解決した事案。
<解決に至るまで>
債権者数 1社
残債務額 約270万円
<最終的な結果>
ご本人は,平成20年に250万円を借りて平成23年まで支払いました。残高は74万円でしたが,それ以降払わなかったので,年21.9%の損害金が加算されて,約270万円の請求書が届き,ご相談に来られました。
消滅時効の援用を検討し,消費者金融から取引履歴の開示を受けたところ,平成28年に判決を取られていたことが判明しました。そのため,消滅時効援用はできず,破産申立により解決することにしました。
浪費もギャンブルもないため,特に問題なく,同時廃止事件(注2)で進行し,無事免責決定がされました。
<担当者から>
本件では消滅時効の援用はできませんでしたが,業者から突然多額の請求が届いた場合は,ご自身で貸金業者等に連絡せず,一度弁護士に相談されることをお勧めします。
消滅時効援用など,適切な対応をすれば,支払う必要のない債務になるかもしれません。
【用語解説】
(注1)「消滅時効」
権利を行使しない状態が一定期間続くと権利を消滅させる制度(民法167条)。
貸金業者の債務は,最終の弁済から5年間の経過(判決の場合は判決確定から10年)で消滅時効完成となる。消滅時効完成後,援用することで効果が発生し,債務の支払を免れる。なお,消滅時効援用は,後日の証明のため,内容証明郵便でされることがほとんどである。
(注2)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
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