NO.42 破産申立と自由財産

<事案>

通勤に不可欠な自動車があったため破産管財事件(注1)として申立をして、自動車については自由財産拡張(注2)し、退職金共済(中退共、注3)については自由財産(注4)とされた事案。

 

 

<解決に至るまで>

債権者数  10社

残債務額  約551万円(住宅ローン残債務含む)

財産    自動車  60万円  退職金共済 約160万円

 

 

<最終的な結果>

Aさんは、住宅ローンのる自宅を売却後、債務が残ったため、破産申立をすることにしました。財産としては、自動車(価値60万円)と退職金(申立時点で約160万円)がありました。

自動車については、通勤の不可欠である旨を報告することで、自由財産拡張申立をしました。退職金については、勤務している場合でも、一般的に退職金額の1/8の金額が破産財団に帰属することになります。Aさんの退職金について調査したところ、退職金共済(中退共)であることがわかりました。退職金共済(中退共)は、差押禁止債権であるので(小規模企業共済法15条)、自由財産となり破産財団に属さないとの報告書と資料を提出しました。

その結果、破産管財人から、自動車は自由財産拡張として認め、退職金は自由財産であるとの回答があり、自動車も退職金も破産管財人に処分されることはなくなりました。

その後破産手続は問題なく進み、無事免責決定がされました。

 

 

<担当者から>

自由財産拡張と自由財産については、専門的な知識が必要になりますので、ご自身で判断される前に、弁護士に何なりとお尋ねください。

 

 

【用語説明】

(注1)破産管財事件 (破産法31条1項)  通称「管財事件」

破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。 法人代表者の場合,必ず破産管財事件となる。大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。

(注2)自由財産拡張

個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。拡張が認められると,破産管財人に処分されず,破産者の財産として保護される。

(注3)退職金共済(中退共)

中小企業が加入できる共済。中小企業退職金共済事業本部(中退共)と事業主が契約し,事業主は毎月掛金を積み立て,従業員退職時に中退協から退職金が支払われる。

(注4)自由財産 (破産法34条3項2号)

破産財団に帰属しない財産のこと。差押禁止財産などがあたる。破産者が管理・処分できる。

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