NO.177 個人再生と破産申立
<事案>
ご本人は当初個人再生(注1)を希望していたが,収入状況を精査した結果,破産申立(同時廃止事件,注2)として申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 2社
残債務額 580万円
資産 特になし
収入状況 本人給与29万円,妻育児休業手当20万円,合計49万円
<最終的な結果>
転居で督促が届いていなかった業者から,延滞金を含め330万円の判決を取られたため来所されました。ご本人は,インターネット掲示板で知った個人再生での解決を希望していました。しかし,お子様が産まれて物入りで,かつ育児休暇中の奥様も復職できる目処も立っていない状況で,履行可能性(注3)に問題がありました。あらためて奥様も同席の上,収入状況と個人再生手続の返済額を説明して協議した結果,ご本人と奥様の希望で破産申立(同時廃止事件)での解決を図ることにしました。
念のため個人再生の履行可能性について裁判所にていねいに説明したところ,免責については問題がなかったこともあり,無事免責決定がされました。
<担当者から>
インターネット掲示板は有用ですが,明らかな誤りもあるため,参考程度にとどめるのが良さそうです。
【用語説明】
(注1)個人再生(小規模個人再生,民事再生法第13章以下)
消費者金融やクレジットの総債務額を減額した最低弁済額を原則3年で分割弁済することで,消費者金融やクレジット残額の免除を受ける手続。なお,最低弁済額は原則,①100万円,②債務額の5分の1,③清算価値分(=財産の総額),以上の①~③のいずれか高い金額となる。
(注2)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
(注3)履行可能性
個人再生手続で,弁済計画に基づく返済が継続できる可能性のこと。個人再生手続では最も重視されるポイント。
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