NO.89 不動産持分と破産申立
<事案>
自宅マンションの共有持分(注1)を有する方が,破産申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 6社
残債務額 約470万円
財産 自宅マンション持分 2/100
マンション価値:2500万円,住宅ローン残1600万円
住宅ローン債務者:妻
<最終的な結果>
自宅マンションは,当初奥さんがローンを組んで購入し,その後本人に持分2/100を贈与していました。マンション共有持分も財産となり,その実質的な価格が問題となります。まず,任意売却を多く手がける不動産業者2社にマンションの価格査定を依頼しました。査定結果は,両社とも2500万円とのことでした。しかし,住宅ローン残が1600万円ありますので,それを加味すると実質的な価格は18万円となります。
計算式 (査定価格2500万円-残ローン1600万円)×2/100=18万円
本人には,少額の預金とマンション持分以外に財産はなく,マンション持分の実質的な価格は18万円ですので,破産管財事件(注2)ではなく,同時廃止事件(注3)として申立をしました。
申立書では,マンション購入と住宅ローンを組んだ経緯,贈与の理由,マンションの価格について詳細に説明した結果,按分弁済(注4)の指示もなく無事免責決定がされました。
【用語説明】
(注1)共有持分 (民法249条以下)
共有とは,複数の所有者(=共有者)によって支配・利用されている状態。
持分とは,各共有者が目的物に対する有する所有の割合のこと。
(注2)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
(注3)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
(注4)按分弁済(あんぶんべんさい)
各債権者に,それぞれの債権額の比率で,債務者の財産を分配すること。同時廃止事件では,按分弁済を免責決定の条件とする場合がある。

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