NO.44 破産申立と自由財産2
<事案>
従業員持株会(注1)で取得した株式につき自由財産拡張申立(注2)をして自由財産(注3)とされた事案。
<解決に至るまで>
債権者数 12社
残債務額 約370万円 財産
保険解約返戻金 約40万円 株式 約6万円
<最終的な結果>
Aさんには,保険解約返戻金があり,保険の解約を望まれなかったので,保険について自由財産拡張をするため,破産管財事件(注4)として申立をしました。 一般的に,自由財産拡張申立の対象となるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金です。保険については,拡張の対象になりますが,株式は,投機・投資資産であり,破産者の経済的再生に不可欠と言えないため,拡張の対象になりません。しかし,従業員持株会で取得した株式は,投機・投資資産ではなく,社内積立であり,預貯金と同視すべき性質のものである,と説明することで自由財産拡張申立をしました。 その結果,破産管財は,保険と株式を自由財産拡張として認め,破産管財人に処分されることはなくなりました。 その後破産手続は問題なく進み,無事免責決定がされました。
<担当者から>
自由財産拡張と自由財産については,専門的な知識が必要になりますので,ご自身で判断される前に,弁護士に何なりとお尋ねください。
【用語説明】
(注1)従業員持株会
従業員が自分の勤めている会社の株式(自社株)を定期的に購入し,会社は,購入代金の一部を補助する制度。
(注2)自由財産拡張
個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。拡張が認められると,破産管財人に処分されず,破産者の財産として保護される。
(注3)自由財産 (破産法34条3項2号)
破産財団に帰属しない財産のこと。差押禁止財産などがあたる。破産者が管理・処分でき
(注4)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。法人代表者の場合,必ず破産管財事件となる。大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。

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