NO.523 新型コロナウイルスの影響により事業を閉鎖し、破産手続をした事例
<事案>
相談者は、勤めていた会社を退職後、一念発起し、レンタルルーム店を開業しました。その際に日本政策金融公庫から1,000万円を事業資金として借入れ、自己の退職金と合わせて経営をしていましたが、思うように収益を上げることができませんでした。何とか赤字補填をと考え、新たにマッサージ店を開業し、黒字経営で事業は順調に進んでいました。しかし、新型コロナウイルスの影響により人員確保が困難な事情が続き、債務の返済について先が見えないことから事業閉鎖を決意し、当事務所に相談に来られました。
<解決に至るまで>債務額と和解内容(概要)
債権者数 22社
残債務額 約3700万円
所有財産 特になし
<最終的な結果>
個人事業主をおこなっていた方の破産手続きについて、大阪地方裁判所倒産部の運用では、現在または破産申立6か月内に個人事業主だった場合、破産管財事件(注1)となります。相談者は、既に事業を閉鎖していたものの、6カ月を経過しておらず、同時廃止事件(注2)ではなく、管財事件での申立てをおこないました。債権者へ配当できる財団の構成には至りませんでしたが、真摯に管財人への対応を行い、無事免責の許可決定がおりました。
【用語解説】
(注1)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
(注2)同時時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。

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