NO.17 多額のギャンブルと免責
<事案>
消費者金融とクレジットカードの借入が主だが、2年前に受け取った退職金2,500万円を全額パチンコで使い果たし、免責(注1)に問題があるため免責観察型(注2)の破産管財事件(注3)として申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 13社
残債務額 約620万円
パチンコでの浪費額 約2,600万円
<最終的な結果>
ご本人はもともと真面目な性格で、長年会社員として勤務していましたが、急病で退職せざるを得なくなり、また、家庭内のトラブルで、家でも居場所がなくなり、パチンコにはまり込んでしまったようです。それに至るには、いろいろ大変だったとは思います。しかし、退職後2年間で退職金全額をパチンコで浪費しており、免責不許可事由があることは明らかであるので、免責観察型の破産管財事件として申立をしました。
破産管財人からは、毎月家計収支表(注4)の作成と、今後の生活再建策について書面でまとめて提出するよう指示がありました。本人は真面目に指示に応え、破産管財人の調査・指導を経て手続きは終了し、無事免責決定がされました。
<担当者から>
インターネット上の掲示板などでは、「免責不許可事由があると破産は絶対無理」などの書き込みを見かけます。しかし、裁量免責の可能性もありますので、破産事件を多く手がけている弁護士とのご相談をお勧めします。
【用語説明】
(注1)免責(破産法248条以下)
破産開始決定時に存在する借入金などの債務につき、支払義務を免れる手続き。
個人の破産者は、免責不許可事由(破産法252条)がないか、あっても裁量免責相当とならば免責決定を受ける。
(注2)免責観察型
免責不許可事があり、免責不許可の可能性が高い場合、裁量免責のため、破産管財人による調査、指導監督を受ける手続き。
(注3)破産管財事件(破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合、破産管財人への引継予納金として20万5,000円の納付が必要となる。
(注4)家計収支表
1か月の世帯全体の収支と支出を表したもの。破産申立用に裁判所が定めた書式がある。
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