NO.53 破産と職業・資格制限

<事案>

病気療養,求職中の生活費のための借入が返済できず破産を希望したが,相談時の職業が保険外交員であったため,破産による職業・資格制限(注1)が問題になった事案。

 

 

<解決に至るまで>

債権者数   4社

残債務額   約200万円

相談時の職業 保険外交員(生命保険募集人)

 

 

<最終的な結果>

ご本人は,真面目で仕事もできる方でしたが,大病を患い療養と通院,その後の就職活動中にかさんだ借入がなかなか返済できませんでした。家族状況と収入から法テラスの法律扶助制度(注2)の利用が可能であるため,同制度を利用した破産申立をすることにしました。 相談当時ご本人は,保険外交員でした。しかし,2か月後には退職予定で,別の業種に就職する予定であることがわかりました。そのため,同時廃止事件(注3)で申立をして,退職・就職予定であることを報告し,裁判所での集団免責審尋(注4)を経て無事免責決定がされました。

 

 

<担当者から>

インターネット上の掲示板で,破産による制限のある職業,資格の人は,絶対破産できない,という書き込みを見かけます。しかし,本件のように退職予定である場合や,制限される破産開始決定から免責確定までの間,社内での配置転換などで乗り切る場合もありますので,破産事件を多く手がけている弁護士とのご相談をお勧めします。

 

 

【用語説明】

(注1)破産による職業・資格制限

破産開始決定から免責確定まで,他人の財産の管理に関わる職務や機関への就業・就任が法律上制限されること。主な職業・資格を揚げる。 弁護士,公認会計士,税理士,行政書士,宅地建物取引士,旅行業務取扱管理者 証券外務員,貸金業者,貸金業務取扱主任者,生命保険募集人および損害保険代理店 一般および特定労働者派遣事業者,旅行業者,警備員,警備業者 一般および特定建設業,風俗営業を営もうとする者,風俗営業の営業所管理者 一般および産業廃棄物処理業者,卸売業者,宅地建物取引業,マンション管理業 特定非営利活動法人(NPO法人)の役員,合名会社,合資会社および合同会社の社員 後見人,後見監督人,保佐人,補助人,遺言執行者

(注2)法律扶助制度

弁護士等の報酬や裁判費用の支払が難しい人のために,公的な資金で援助を行う制度。 利用には,収入等について一定の要件を満たす必要がある。原則援助を受けた金額は,返還(=償還)する必要がある。

(注3)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」

破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。上記引継予納金は不要であるが,裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。

(注4)免責審尋期日

破産手続で,免責するのが妥当か判断するため行われる債務者と裁判官との面接。大阪地方裁判所の運用では,「集団免責審尋」として,裁判官が裁判所の集会室に集まった債務者に注意事項などを話すことがほとんどである。

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