NO.55 個人事業主の破産手続き
<事案>
Tさんは、金属加工の個人事業を営んでいました。従業員を2名雇用しご自身も職人として仕事をしていましたが、取引先の不渡りをきっかけに次第に経営が悪化していきました。また、自身も高齢であることから事業継続が困難であったため事業をたたむことを決意しました。事業を閉鎖するも多額の負債が残ることから、当事務所にご相談に来られました。
<解決に至るまで>
まず、事業資金の借入れについて、奥様が保証人になっている可能性がありましたが、債権調査の結果、少額のリース債権のみに保証人になっていました。そのため、Tさんについては破産手続を行い、奥様については任意整理の手続きを行いました。 Tさんは、約4500万円の負債があり、個人事業主であった事情も含め、管財事件として破産申立をおこないました。
<最終的な結果>
申立後は管財人が選任され、不動産、自動車、リゾート会員権、株式等の財産を換価し、債権者への配当が行われ、無事免責の許可決定がおりました。Tさんも自由財産の拡張申立てを行い、現金と預貯金70万円と自動車(評価額5万円)、生命保険を手元に残すことができました。今では娘さんと一緒に生活をしています。
【用語説明】
○破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。 大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
○自由財産拡張
個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。拡張が認められると,破産管財人に処分されず,破産者の財産として保護される。
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