NO.149 住宅ローンと破産申立
<事案>
自宅の住宅ローン延滞で破産申立をした事案。
<解決に至るまで>
債権者数 1社
残債務額 約1400万円(住宅ローン)
財産 特になし
<最終的な結果>
Aさんは,転職により収入が減少したことで月々の住宅ローン支払が難しくなり,支払を延滞し,一括請求を受けることになりました。破産申立をすると自宅はなくなりますが,自宅の修繕費支払が負担だったこと,就職活動のための転居を検討していたこともあり,破産申立をすることにしました。
自宅は,オーバーローン不動産(注1)であったので,同時廃止事件(注2)として申立をしました。自宅は任意売却(注3)せず,競売手続が進むに任せ,転職活動と新居さがしを優先することにしました。
Aさんは,まじめな方で免責不許可事由もまったくないため,手続は問題なく進み,無事免責決定がされました。
<担当者から>
本件は任意売却をせず,ご本人の転職と転居を優先した案件です。教科書的には任意売却をするところですが,ご本人の生活建て直しが第一ですので,ご本人のご都合を優先するのは当然です。
【用語説明】
(注1)オーバーローン不動産
所有不動産が,下記①または②にあたる場合は,「オーバーローン不動産」として価値なしとする。したがって,財産がオーバーローン不動産のみの場合は,同時廃止事件として申立をすることができる。
①担保付不動産の被担保債権額の残高が固定資産税評価額の2倍を超える
②上記①の割合が1.5~2.0の間の場合は,被担保債権額の残高が不動産業者の査定額の1.5賠を超える
(注2)同時廃止事件 (破産法216条1項) 通称「同廃事件」
破産者の財産が少なく,破産手続の費用の捻出ができない場合に,破産開始決定と同時に破産手続を終わらせる決定をする手続。裁判所の書面審査のため,原則申立時に必要資料をすべて提出し,事細かに報告する必要がある。
(注3)「任意売却」 略称:「任売」(にんばい)
担保権が付いた不動産につき,法的手続(=競売)ではなく,担保権者との任意交渉で担保抹消同意を得て売却する手続。①任意交渉であるので所有者側に主導権がある,②競売より高額で売却できることが多く売却後の残債務を少なくすることができる,③引越費用を売却代金から取ることができる,などのメリットがある。
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