NO.154 再生手続開始申立事件

<事案>

 勤め先からの独立を思い立ったことや、勤め先以外でのアルバイトのための資金繰りなどを理由に大きな借り入れを行い、それへの返済をしていくためにさらなる借り入れを行うなどして債務がかさんでいきました。離婚後は、住宅ローンを支払っている自宅に一人で暮らしていましたが、この度、離れて暮らしていた息子が一緒に生活したいと申し出てきたこともあって、自宅だけは残して生活を改めたいと考えられ、債務整理をすることを検討されました。弁護士との相談の結果、住宅ローンは従来通りに返済しながら、その他の債務の負担を軽くするために個人再生手続を選択することにしました。個人再生手続は、再生計画に基づき今後継続的に返済をしていくことができる十分な履行可能性(※)がなければ認可されないところ、依頼者は毎月安定した収入を得ておられたため再生計画が認可されることとなりました。

 

 

<最終的な結果>

 再生計画認可前
  債務総額 約15,570,000円  毎月の返済額 約250,000円

 再生計画認可後
  債務総額 約3,010,000円  毎月の返済額  約84,000円

 

 

 

<解決ポイント>

 圧縮後の債務をしっかり返済していけるかどうかを裁判所に見極めてもらうべく、家計の収支を具に検討し、正確にまとめ上げました。依頼者にもいろいろ資料を整えていただいたり苦労をかけましたが、これにより自らの生活実態を把握することもでき、今後の生活立て直しにも資したのではないかと思います。申立にあたっては依頼者との連携が不可欠ですが、依頼者と弁護士、事務員が一体となって、申立てにこぎつけられました。

 

【用語説明】
履行可能性
履行可能性とは、個人再生手続上、弁済計画に基づいて算出された金額を原則3年間かけて返済できる可能性をいいます。個人再生では、自己破産と異なり、債務の大幅圧縮を受けたうえで、債務総額の一部を支払っていくことになっています。そのため、裁判所の判断において、支払っていくだけの経済力があるかどうかが判断の中心となっており、その支払能力のことを履行可能性と呼んでいます。

 

 

 

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