NO.581 債務整理 ⇒ 投機と住宅特則付き個人再生

<事案>

 収入を増やそうと始めた投機での損失と住宅特則付き小規模個人再生(注1)。

<解決に至るまで>

債権者数 14社

残債務額 住宅ローン 1530万円

     消費者金融・クレジットカード 740万円

     合計 2270万円

資産   自宅

収入状況 収入に変動はないが,投機での損失の埋め合わせの借入が大きい

<最終的な結果>

 ご本人は,勤務後もアルバイトを入れて収入を増やし,余裕をもって住宅ローンを返済していました。しかし,勤務先の残業が続くと,アルバイトが難しくなり,アルバイトをやめてしまいました。奥様もパートで頑張っているので,アルバイトに代わる収入を得ようとしたのか,インターネットで知ったバイナリーオプション(注2)で,お金を増やそうとしましたが,損失を出すばかりでした。消費者金融とクレジットカードからの借入で生活費を捻出したため,返済が滞り,ご自宅をなくすおそれがあるため,ご来所されました。

 ご自宅を守りたいとのことでしたので,住宅特則付き小規模個人再生での解決を図ることにしました。収入に変動はありませんが,これまでと同じようにバイナリーオプションを続けると支払可能性(注2)がなくなるため,まず,ご本人にバイナリーオプションをやめていただきました。そして,世帯の収支を確認したのち,裁判所に申立てをしました。そのためか,裁判所から履行可能性に関する指摘はなく,再生開始決定,再生計画認可決定となりました。

<担当者から>

 バイナリーオプションは,金融庁webページで注意喚起が出ています。射幸性(=ギャンブル性)が高いこと,何度も取引することで多額の損失が出る,とのことです。

【用語解説】

(注1)住宅特則付き小規模個人再生(民事再生法第13章以下)

 住宅ローンはそのまま払い続け,消費者金融やクレジットの総債務額を減額した最低弁済額を原則3年で分割弁済することで,消費者金融やクレジット残額の免除を受ける手続。

(注2)バイナリーオプション

 為替レートの上下を予想する店頭デリバティブ取引。実質丁半博打であるが,市場を通さないこともあり,参加者が不利になるよう誘導されるので,必敗である

(注3)履行可能性

 個人再生手続で,弁済計画に基づく返済が継続できる可能性のこと。個人再生手続では最も重視されるポイント。

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