NO.146 住宅特則付き個人再生と年齢
<事案>
65歳を超えているが,住宅特則付き小規模個人再生(注1)を申し立てた事案。
<解決に至るまで>
債権者数 11社
残債務額 住宅ローン 1500万円
消費者金融・クレジットカード 830万円
合計 2330万円
資産 自宅
特記事項 勤務先の退職年齢なし
収入状況 給与 月25万円
その他 当事務所来所前に他の法律事務所で年齢を理由に住宅特則付き個人再生申立を断られた
<最終的な結果>
消費者金融とクレジットカードの支払がかさみ,ご自宅をなくすおそれがあるためご来所されました。ご自宅を守りたいとのことでしたので,住宅特則付き小規模個人再生での解決を図ることにしました。
ご本人は,勤務先から「働ける限り来てください」と言われており,退職年齢はないとのことでした。職場での様子を聞くと,若い職員の指導や各部署の調整などベテラン職員として職場に不可欠な存在のようでした。この様子ならば,住宅特則付き個人再生手続を進めることはできると判断し,念のため退職年齢がない旨と現在の職場での役割などを報告書にまとめて裁判所に申立を行いました。裁判所から年齢による弁済可能性についての指摘はなく再生開始決定,再生計画認可決定となりました。
<担当者から>
始めてご来所されて一通り説明と聴き取りを済ませたあと,ご本人から「別の事務所で相談したが,年齢を理由に再生申立を断られた。ショックだった」と聞きました。
確かに,銀行は,返済期間が70歳を超えるような融資をしません。しかし,それは銀行融資の話しであり,弁済可能性があれば個人再生手続を進めることは可能です。
あらかじめ判断基準を設定し,効率的に相談を進める事務所もあると聞きます。しかし,画一的・機械的に対応するのではなく,ご依頼者様や状況に合わせて柔軟な対応ができないとよい解決に至らないと考えます。
【用語説明】
(注1)住宅特則付き小規模個人再生(民事再生法第13章以下)
住宅ローンはそのまま払い続け,消費者金融やクレジットの総債務額を減額した最低弁済額を原則3年で分割弁済することで,消費者金融やクレジット残額の免除を受ける手続。
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