NO.6 住宅ローン代位弁済後の個人再生
<事案>
住宅ローンを何度か延滞し,保証会社の代位弁済(注1)から6か月経過直前に住宅ローン特則付個人再生(注2)を申し立てた事案。
<解決に至るまで>
債権者数 10社
残債務額 合計 3100万円
内訳 住宅ローン 約2500万円(月々の支払額 約9万円)
消費者金融・クレジットカード 約600万円
資産 自宅(都市銀行の保証会社の住宅ローン抵当権付) 時価2000万円
収入状況 給与 月28万円(正社員20万円,アルバイト8万円)
相談来所時,すでに住宅ローン延滞で保証会社が代位弁済をしており,早急に申立費用準備をしていただき,代位弁済後6か月内に住宅特則付民事再生申立をしないと,自宅を競売により失う可能性が大であった。
<最終的な結果>
住宅ローンの保証会社が代位弁済後,6か月を経過するまでは住宅特則付個人再生の申立ができます(民事再生法198条2項)。ご来所時には3か月が経過しており,ご本人に急ぎ申立費用準備をお願いし,即日受任通知と債権調査票(=弁護士から債権者への債権額の調査,通常2か月ほどかかる)を全債権者と保証会社に発送しました。ご本人の協力もあり,債権調査完了後すぐに申立書を完成させ,6か月経過の2週間前に裁判所に申立を行うことができました。保証会社との交渉の末,住宅ローンのまき直し(注3)をして,新たな弁済計画をまとめ,再生計画案を裁判所に提出し,再生認可決定がされました。
ご本人は,自宅を失うこともなく,再生計画どおり住宅ローンと各債権者への弁済を続けておられます。
【用語説明】
(注1)保証会社の代位弁済
住宅ローンの保証会社が,債務者に代わって銀行に弁済すること。代位弁済までのスケジュールは,各保証会社により異なるが,ある大手銀行の保証会社のスケジュールは次のとおりである(延滞回数は連続ではなく通算)。
延滞5回目 内容証明郵便で督促状が届く
延滞6回目 期限の利益を喪失(=分割弁済できなくなる),銀行預金口座が凍結される
延滞7回目 保証会社の代位弁済,団体信用生命保険(通称「団信」)強制脱退
(注2)住宅ローン特則付個人再生(民事再生法196条以下)
住宅ローンについての特則を付けた個人再生手続。
個人再生は,消費者金融やクレジットの総債務額を減額した最低弁済額を弁済することで残額の免除を受ける手続であるが,住宅ローンについては減額することできない。
(注3)住宅ローンのまき直し
期限の利益を喪失し分割弁済が認められなくなった住宅ローンにつき,再度の分割弁済案を作成し,住宅ローン債権者の同意を得ること。
同意により従前と分割弁済額・返済期間は異なるが,分割返済が可能となる。
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